土曜日は、出かけるつもりだったが、雨がひどいので止してテレビを点けると、日本映画専門チャンネルで『続・兵隊やくざ』をやっていたので見ると、やはり面白い。
監督田中徳三。
勝新太郎の大宮貴三郎と田村高広の有田上等兵の物語。
これは、かつて映画芸術の編集長だった小川徹に言わせれば、第一作『兵隊やくざ』の監督増村保造の「肉体と頭脳」の二元論なのだそうだ。
これは、勿論原作者有馬頼義の軍隊体験から得られたものだが、実によくできている。
戦争末期の中国で、勝新は、大暴れし、軍隊を自由奔放に生きる。
有田は大宮に聞く
「お前は軍隊が好きなのか」
「好きでもないが、悪くもない」
軍隊を非合理な暴力集団だと思うのは、インテリの見方で、底辺の庶民にとっては、軍隊は生活を保障してくれる上に、シャバの階級とは無縁な「平等社会」であり、居心地の良い場所だった。
それは、渥美清主演の『拝啓天皇陛下様』にも通じる庶民の見方である。
この勝新と田村高広のコンビを作り出したのは、勿論増村保造であり、彼は市川雷蔵の人気シリーズ『陸軍中野学校』も1作目を作っている。
この二つのシリーズは、最初は大映東京で撮られ、そのごシリーズ化して大映京都で次々と作られたという不思議な作品群である。
撮影所が変わっても、作品のレベルが落ちなかったのは、さすが大映である。
『兵隊やくざ』の最後の、やはり増村が撮った『新・兵隊やくざ・火線』のみは見ていないので、その内見ることにする。
日本映画専門チャンネル