クリス・マルケル作品4本

ビル・エヴァンスのドキュメンタリーを見るため、5時前から横浜シネマリンに行く。
上の喫茶店で軽食を取った後、地下の映画館に降りる。

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クリス・マルケル特集で、『クミコ』『AK』、『北京の日曜日』そして『イブ・モンタン』のオランピア劇場コンサート。
『クミコ』は、1964年の東京オリンピックの時に、来日して撮ったもので、ムラオカ・クミコという梶芽衣子似の20歳の女性を対象に東京等を撮影したもの。新橋ステージ、横浜ドリームランド、浅草などが出てきて興味深い。
新橋ステージは、新橋駅西口にあり、円形の野外ステージがあり、その下はJRAの売場だった。テレビが置いてあり、20型くらいだが、これに白井義男の世界タイトルマッチ中継で、5,000人が集まって都電が止まったのか、と思う。今はSL広場になっているところだ。
『AK』は、もちろん黒澤明のことで、『乱』の富士山麓での撮影の際の彼を捉えたもの。
CSでは見ているが、映画館では初めてで、武満徹の音楽が良い。中で一番面白いのは、ススキに金粉を吹きけて蒔絵のような画面を作るところ。蓮実先生のナレーションの1950年代のソ連映画のように、本多猪四郎以下は、嬉々として作業をするが、編集でカットされる皮肉。
これでもわかるように、黒澤明は、社会主義リアリズム作家なのである。

『北京の日曜日』は、1955年の北京で、この「共産中国」になったものの、恐らくは清朝当時と変わらない北京の庶民だったと見える。
『イブ・モンタン』は、オランピア劇場でのコンサートのためのリハーサルをするモンタンを捉えたもの。
最初に感じたのは、「長谷川一夫みたいだな」ということで、曲はもちろん、キッカケ、振付等を全部自分でやるモンタンである。
当時は、チリでアジェンデ政権が軍事クーデターで倒された時で、その救済コンサートだった。
対象を客観的に捉え、冷静に表現するのがマルケルで、どれもクールな表現だった。
横浜シネマリン

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