徒労映画

多くの映画を見てきたが、最後に来て、そこまで見てきたことのすべてが徒労だったと分かる映画も少ない。
1975年にATGで公開された映画『鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い』、日本映画専門チャンネルのATG特集。
監督は元日活の吉田憲二、脚本は岩間芳樹、主演は田中健と高橋洋子、音楽真鍋理一郎。

北海道の炭鉱から出てきた若者田中健は、ビルの窓拭きをしていて、オフィスにいた高橋を見初める。
あらゆる場に、高橋を追いかけるが、田中はただのストーカーである。
高橋はお高くとまった嫌な女で、田中も何を考えているのか、さっぱり分からない。
ともかく真面目なのか、ふざけているもかが良く分からない。監督の吉田憲二は真面目な人だったので、真面目に作っているはずだが、主人公二人がひどいバカ。田中が、外国に行くために密航した船が北海道行きのフェリーだったのだから笑える。
狂騒的に筋は進むが、高橋も地方出であることが分かり、いつの間にか二人は惹か合う。この辺の経緯もよく分からない。
田中健は、外国に行くことを夢見ていて、それは「レシポルコ」だという。
そこは、ユートピアのような場所で、彼はそこに花を植えると言う。

突然、高橋洋子の元彼の高岡健二が、萩原健一と一緒にアパートに押し掛けて来て、高岡に暴行されるが、萩原は何もせず、見もしない。
なぜか。
萩原は盲目なのだ。「へぇー」と思ったね、こういう不思議な手があったのか。

最後、高橋は妊娠し、「自分の子ではないが、子を産め」と勧める田中に対し、高橋は中絶してしまう。
前の男の子供を次の男が虐待するのはよくあることだから、高橋の判断は正しい。
そして、ある夜、高橋は中絶の後遺症で急に体が弱り、田中は彼女をタクシーに乗せ病院を探すが、どこも受け付けれず、仕方なくアパートに戻る。
彼らは、119番を知らないのだろうか。
そして、ついに高橋洋子は死んでしまう。
田中は、飼っていた鴎を東京港の海に離す。
そして、言う「レシポルコなんて、どこにもない」と。
全く唖然としましたね。
この映画は、一体何のためにあったの。
唯一の理由は、吉田憲二以下の日活のポルノへの転向で失業したスタッフの救済事業しかないだろう。
救いは、撮影が大津幸四郎で、ドキュメンタリーのような自然で自由なカメラが良い。
田中健って、本当に大根。

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