『栄光への5,000キロ』

石原裕次郎が、日活から独立して作った作品の一つ。
長期アフリカ・ロケした2時間を超える大作で、国内では松竹映配で公開されたが、あまりヒットしなかったようだ。だが、本格的カーレース映画としては、多分日本最初で、最高の一本だろう。
石原裕次郎、浅丘ルリ子主演で、監督蔵原惟繕、そして車とくれば、傑作『憎いあンちくしょう』を思い出すだろう。
事実脚本も同じ山田信夫で、よく似ている。それには及ばないが、上出来の映画である。
欧州で活躍しているレーサーの裕次郎に、日産からアフリカ、ケニアのサファリ・ラリーへの参加のオファがある。
日産の担当役員は、三船敏郎、技術者は仲代達矢、チームの責任者は伊丹十三とこれも適役。

ルリ子は、裕次郎の恋人だが、ファッション・デザイナーであり、フランス人デザイナーのアラン・キュイニーとも恋愛関係にある。
もう一つのエマニエル・リバとその恋人のフランス人レーサーのジャン・クロード・ドルドーとの関係も対置される。
サファリ・ラリーでのレースは、勿論本物のレーサーによる部分もあるが、裕次郎はドライブが好きだったのだろう、彼もかなり運転している。
浅丘ルリ子は、この頃は小林旭と別れて、蔵原惟繕とも恋愛関係にあったが、実はずっと石原裕次郎が好きだった。
林真理子の『RUIKO』によれば、このアフリカ・ロケの時、ルリ子は長い間の思いを遂げようとしたが、遠まわしに裕次郎に拒否されてできなかった。
裕次郎は、勿論ルリ子の心を十分に分かっていただろうが、映画製作の総責任者として、そんなことはできなかったのだ。
先日読んだ女優吉行和子の本によれば、彼女は日活の『あいつと私』、さらに日本テレビの『太陽に吠えろ』で裕次郎と共演した。
そして、裕次郎について、「誰に対しても優しく、気配りがある、こんなに素晴らしい、良い人がいるだろうかと思った」と書いている。
多分、本当だろう。
あの粗野な言動の石原慎太郎とは、正反対の人間性の豊かな男で、監督の今村昌平も「好感を持っていた」と書いている。
だから、裕次郎の周りには、多くの人が集まり石原プロモーションもできたのである。
だが、兄の石原慎太郎は、中川一郎が自殺した後、「青嵐会」を受け継いだが、すぐに誰もいなくなってしまった。
そういう自分勝手な人間なのである、東京都知事は。

浅丘ルリ子が本当にきれいで生き生きとし、撮影の金宇満司のアフリカの自然の情景が美しく、黛敏郎のスケールの大きな音楽が素晴らしい。
NHK・BS

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コメント

  1. 村石太レディ&マーメイド号 より:

    映画同好会(名前検討中 石原裕次郎を語る会
    石原裕次郎 で プログ検索しています。
    ウェーブで 裕次郎さんを 調べると 映画 歌手テレビ スゴイですね。忙しい人ですね。今 動画で 若者たち 我が人生に悔いはなし俺の人生 思い出さがし みんな誰かを愛している 愛フォーエーバー を 聞いています。
    栄光への5000キロ まだ 見ていない私です。