『さぶ』

劇団俳小の公演『さぶ』を見に行く。

池袋のシアター・グリーン、ここは以前はプレハブ小屋のようなものだったが、今は立派なビルになっている。

「さぶ」は、言うまでもなく山本周五郎の小説であり、1964年には日活で『無法無頼の徒・さぶ』として、小林旭、長門裕之、浅丘ルリ子で映画にもなっているが、3人の青春映画になっていてとても感動的だった。

私は、今はない浅草の名画座で3本だての1本として見たが、これはあまり有名な作品ではなく、見た人は少ないようだ。

監督は、『拳銃は俺のパスポート』で有名な野村孝で、高橋英樹の『男の紋章』シリーズ等のヤクザ映画は別として、ロマン・ポルノ以前の日活が多分最後に作った正統派の時代劇の1本だろうと思う。

話は、江戸の下町で経師職人のさぶと英二、のろまなさぶと鋭敏で色男でもある英二の友情、さらに女中のおすえとの3人の物語。

原作はとても良く出来た話で、舞台では前進座がやっている他、私は寺島しのぶのおすえの主演で、新橋演舞場公演で見たことがある。

今回は、脚本は竹重洋平で、演出は河田園子とどちらも劇団俳小の人間ではない。

役者も他の劇団から来ていたが、主演の英二の志村史人は、なかなかの二枚目で適役だった。

展開としては、冒頭の両国橋でのさぶと英二の有名なシーンからいきなり石川島の人足寄場に入れられた英二の話になってしまうのは、疑問を感じた。

確かにこの話は、「誰が高価なきれ地を盗んで英二の道具箱に入れたのか」という推理劇の趣向があるが、それよりも3人の若者の青春物語であり、それが初めの方できちんと描かれていなかったのは、どうなのかと思った。

だが、この筋の展開によって推理劇的趣向が強く思え、この山本周五郎の小説も欧米の推理小説の翻案ではないかと思えたことは収穫だった。

美術、音楽、衣装など恐らくは少ない予算の中で工夫されていることが見える公演だった。

代表の斉藤真さん、本当に劇は大変ですね。

シアターグリーンボックスインボックス

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