『湯殿山呪い寺』

こういう映画は、一番困る。評価しようがないからである。

なぜなら当たるだけのことを考えて作られているからで、ご苦労様、ヒットして良かったですね、としか言い様がないからである。

        

話は、宗教学者で即身仏の発掘しようとしている永嶋敏行が、恋人永嶋瑛子の父で、発掘費用を出してもらおうとしていた会社社長の織本順吉の殺人事件を解明するというもの。

旧日活陣がスタッフ、キャストとも多く参加していて、中でも青木義朗や榎木兵衛らが活躍というか、中心人物になる。

湯殿山呪い寺というのが、完全なミスデイレクションで、殺人にはまったく関係のなく、とも言えないが家庭内の不和に基づくという結果に終わる。

ただし、仙道敦子がやや押しの弱い女優なので、意外性はあるが、納得性は感じられない。

音楽は、林光でなかなか抒情的だった。

監督の池田敏春は、一部で非常に評価が高かったが、私はそうとは思わない。

『人魚伝説』やこの作品のように伝奇的映画を作っていたので、おかしくなったのではないかと思う。

私は彼の遺作で、織田作之助原作の『秋深き』のような抒情的な庶民映画の方が向いていたように思うが。

日本映画専門チャンネル

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする