月光仮面の妻

月光仮面の妻とは、高千穂ひづるのことである。

よく知られているように彼女は、プロ野球の審判で「俺がルールブックだ」の名言で有名な二出川延明の娘である。

宝塚歌劇団にいた後、なぜか松竹に入るが、その後東映に移り、主に時代劇で大活躍する。

錦之助・千代之助の『新諸国物語』シリーズで、この頃の東映時代劇の女優は、彼女の他、千原しのぶ、田代百合子の3人が出ずっぱりで、高千穂は、お姫様役だった。

その後、フリーになって独立プロの『異母兄弟』等にも出ているが、この人の映画で注目すべきは、松本清張原作、野村芳太郎監督の『ゼロの焦点』である。

           

ここで、彼女は戦後米軍相手のパンパンから、北陸の裕福な家庭の夫人になった女性を演じている。

彼女は、当時では非常に珍しいと思うが、後に秋吉久美子がするような、醒めたクールな演技を披露している。

それが、彼女のアイディアなのか、野村監督の指示なのかは分からないが、元々彼女にそうしたクールな資質があったのだろう。

テレビの『月光仮面』で大人気となった大瀬康一と結婚した後は、父の後を継ぎ、ビジネスに専念しているようだ。

まことに賢明な生き方というべきであろう。

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