『人間魚雷出撃す』

1956年、石原裕次郎主演で作られた人間魚雷回天の秘話である。
冒頭、アメリカの軍事法廷で、潜水艦の艦長だった森雅之が参考人として証言させられている。
彼の指揮する潜水艦が撃沈したのはインデイアナポリス号で、テニアン島に原爆を運んだ後のことだったのである。
そこから森の回想で艦が江田島を離れ、太平洋に攻撃目標を求めて行く航海が描かれる。
その船には、人間魚雷の乗員が4人いて、裕次郎の他、葉山良二、長門裕之、杉幸彦である。
最初に遭遇したタンカー等への攻撃に葉山と杉は出撃し、見事撃沈させる。
次がなかなか見つからず、裕次郎と長門は焦るが、館長の森は、なるべく回天を使いたくなく、また船内の様々な人間の描写が面白い。
西村晃、浜村純、天草四郎、高品格、三島耕などと多彩。
ついに大型船団と遭遇し、駆逐艦からしきりに爆雷を落とされ、船内に水が浸水し、潜航し続けるため、酸素が不足してガスボンベから補給する始末。
裕次郎と長門の申し出を受け入れて、森は回天の出撃を決意し、見事大型巡洋艦を撃沈させて任務を終わって帰島する。
最後、森雅之は思う。
二度と、太平洋に若き血潮が流されないことを望むと。
監督・脚本の古川卓己は、あの有名な『太陽の季節』を監督した方だが、どうにもニンに合っていなかったようで、おずおずと不良学生映画を撮っているという感じだった。
その後も、アクション映画が多かったと思うが、さして印象に残る作品はない。
要は、まじめで大映的な、重厚な作風の監督だったのだと思うが、これは非常に良かった。
経歴を見ると、やはり兵役についている。元特攻隊の西村晃をはじめ、皆戦争を体験しているので、非常にリアリティがある。
安倍晋三君にも見せたい映画の一つである。

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