『昭和の劇』 笠原和夫 荒井晴彦・絓秀実

2003年6月に買った本をやっと読み終わることができた。13年かかったわけだ。

2002年に亡くなられた笠原和夫に荒井と絓が聞いたもので、『仁義なき戦い』など、やくざ映画、それ以前の東映作品の話も面白いが、題名のとおり「昭和最大の劇」である、昭和天皇についての話が衝撃的である。

前にも書いたが、昭和天皇、秩父宮、高松宮、三笠宮の4兄弟が、大正天皇の子ではなく、別々の男との間の子であることは、2・26事件の河野少尉の兄・河野司氏の、東久邇稔彦氏から聞いた話として出てくる。

            

つまり、2・26事件は「昭和の壬申の乱」であり、異母兄弟間の争いであったわけだ。

このことは、曖昧な表現だが、鳥居民氏の『昭和史を読み解く』の中にも出てくる。事件の最中に、昭和天皇と秩父宮が激論を交わし、その後秩父宮は、御殿場に蟄居させられたというのだ。

さらに、この本の終わりの方に、もっとすごいことが書かれている。

それは、無期禁固になり、実業家となった清原少尉の証言として、2・26事件の本当の首謀者は本庄繁だというのだ。

事件の時は、いうまでもなく天皇の侍従武官長で、事件への理解を進言して昭和天皇の激怒をかった人である。

そのために事件後は予備役にされ、戦後1945年10月に自決してしまう。この自決も不思議で、いくらGHQから出頭命令があったからと言って、自決するほどの罪があったとは思えないが、2・26事件の真相が明らかにされるのを恐れたとすれば理解ができる。

笠原和夫さんのような脚本家はもう出ないだろうと思った。

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