『月は地球を廻っている』

阿佐ヶ谷ラピュタの20周年記念のレアもの特集。

1959年の日活作品、監督は春原政久、この人は戦前から日活で、主に喜劇を撮っていた人。

零細広告会社の話、社長は西村晃、ナンバーワン社員が岡田真澄で、彼はデパートの宣伝課長小沢昭一に様々な企画を出している。

彼の恋人は社員の中村万寿子で、ある夜デートするが、途中で岡田は「明日は結婚式だ!」と去り、驚く中村。

次は、上野の西郷さんの銅像の前で結婚式が行われていて、新郎は岡田、新婦は中島そのみ。だが、それをテレビ、日本教育テレビが中継している。

日本教育テレビは、今のテレビ朝日で、当時東京にはNHKの他、日本テレビとラジオ東京テレビ(TBS)があり、富士テレビは財界寄りですぐに許可が予測されたが、朝日新聞等が中心になった社は、許可が難しいだろうとのことで教育テレビとして発足したので、初期は一日の内のある割合は教育番組だった。

不思議なのは、実際に「テレビ結婚式」はあり、フジテレビで、徳川夢声と阿井美智子の司会だったと思う。この岡田と中島の結婚式は、テレビ用の「やらせ結婚式」で、化粧品会社の宣伝だったのだが。

だが、本当に岡田が中島と結婚したと誤解し、中村は絶望してしまう。

当時、巷ではフラフープが流行していて、目を付けた岡田は、小沢に「フラフープ大会」を提案して実施する。

中島は歌とダンスが上手で、出場した中村らを押しのけて優勝し、賞品の全国飛行機旅行券を貰うが、彼女はそれを中村に上げ、岡田と二人は結婚して旅行に出ていく。

中島そのみは、東宝の「お姐ちゃんシリーズ」の一人になるが、もともとはジャズ歌手で、レコード会社の人と結婚して引退後した。

もう1本の『拳銃0号』は、岡田真澄の手で香港から持ち込まれた拳銃が、ギャング団(安倍徹、待田京介、宍戸錠)、売れない作曲家(浜村純)、ロカビリー族(等を転々とし、最後は心中しようとしていた川地民夫と稲垣美穂子の手に入る。そして引鉄を引こうとすると弾は残り1発しかなく、心中ができない。そこで死ぬのは止めて、拳銃は海に捨てて生きていこうとする。

よくあるリレー・ドラマで、アクションシーンは監督の山崎徳次郎らしい上手さはあるが、予定調和的で、どうということのない1時間もない作品。それは、「月は地球を廻っている』も同じで、これは中島が『フラフープ』として歌って結構ヒットした曲だった。

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