池部良のモラリズムとニヒリズム

日本の男優で好きなのは、池部良とピンク映画のスター下元史郎で(最近下元の姿を見ないが)、池部のすごさは、そのモラリズムとニヒリズムである。

あの全身が体現しているニヒリズムはどこから来ているのだろうか。
多分、それは戦時下に海軍に従軍したときの日本軍の非人間性であり、また戦後の東宝大ストライキでの組合の恣意的な政治性だったろう。
結局、どちらの側に付くこともできず、組織や団体を信じられず自分一人で生きていくしかないと言うのが、戦前、戦後で組織の問題を見た池部のニヒリズムである。
そして、それは同時に生きる上でのモラリズムにもなる。

東宝の筧正典監督作品の『重役の椅子』等サラリーマン映画でのモラリッシュな生き方であり、篠田正浩の『乾いた花』のヤクザ村木であり、さらに東映ヤクザ映画『昭和残侠伝』での風間丈吉のカッコ良さになる。

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