前述の岡田裕氏の本にはロマン・ポルノ時代の日活が、一般映画として秋吉久美子主演、藤田敏八監督の『赤ちょうちん』『妹』『バージン・ブルース』の3部作を作った経緯も書かれていた。
それは、岡田氏が、かぐや姫のヒット曲『神田川』を気に入って映画化しようと作者喜多条忠のところに行くと、それはすでに東宝に売ってしまったと言う。
だが、今度のLPで『妹』と『赤ちょうちん』を出すので、それにしてはということで、映画化されたのだそうだ。
その結果、秋吉久美子・藤田敏八の3部作になった。
一方、東宝の『神田川』は、女優は関根恵子と悪くはなかったが、脚本が中西隆三と日活の古いおっさんのもので、話が異常に古臭くてひどいものだった。
こういうヒット曲を題材としたものは、時代を捉えるセンスが必要で、東宝にはまったくなかった。