昔、テレビで見ていて、再び見たが、やはり面白かった。
ワーナー映画だが、完全にイギリス風になっている。それも当然で、脚本はフレデリック・ノットで、この人はイギリスの劇作家なのだ。オードーリー・ヘップバーン主演の『暗くなるまで待って』も、彼の脚本である。
舞台劇の映画化なので、芝居の大半は、美しい人妻グレース・ケリーとその夫で、元はテニス選手で今は会社員となったレイ・ミランドとのマンションで行われる。
レイ・ミランドは、多額の財産を持つ妻が、実は作家のロバート・カミングスと恋仲であることを知り、大学の先輩で生活に困っていた男を金で妻殺しを依頼する。
当日、夫は作家と一緒に食事に行き、家に電話し、妻がベッドから電話口に出てきたところを後ろから殺させる。
ところが、妻は机に置いてあった鋏で男を刺し殺してしまう。
意外な事態に混乱する妻に、すべてをレイ・ミランドが収拾し、グレース・ケリーは、愛人との関係を脅迫されていて、そのためにやって来た男を殺したと有罪にされてしまう。
レイ・ミランドの、非情で冷酷な事態の収拾法と推理の展開がすごい。
最後は、勿論レイ・ミランドの犯罪が証明される。
その鍵になるのは、まさに階段のカーペットの下に隠した部屋の鍵。
1954年、昭和29年だが、カラーであり、相当に陰惨な話だが、そうは見えず面白い娯楽映画になっているのは、さすがヒチコック監督。
例によって、ヒチコックが作品に顔を出すのは、レイ・ミランドが大学時代に撮った写真の一員として。
BS2