ロマン・ポランスキー監督、ロバート・タウン脚本のミステリー映画。
1930年代のハード・ボイルド小説の探偵物の雰囲気を極めて良く再現している。
私立探偵J・J・ギデス(ジャック・ニコルソン)は、ロスアンゼルス市水道局長の妻と名乗る女から夫の浮気調査を受ける。
だが、調査の中で局長は死に、本当の妻と会うが、それはフェイ・ダナウェイで、当初妻と名乗った女とは違う。
当初は、水道事業をめぐる疑惑事件のように見えるが、最後は意外な結末に至る。
だが、これは余り愉快なものではない。
特に、われわれアジア人にとっては、大変不愉快な結末である。
悲劇の中心に、父親で大富豪のジョン・ヒューストンとフェィとの近親相姦がある。
フェイは、15歳の時に、父ヒューストンに襲われ娘キャサリンを産んでいるのだ。
その父と夫との争いの中で、夫は殺されたのである。
問題はこの題名で、はっきりとは描いていないが、ヒューストンとフェィは、チャイナタウンに住む中国系の人間のようなのだ。
そして、中国人をはじめアジア人は、父と実の娘のような近親相姦が行われている、ということらしいのだ。
ひどい偏見という他はない。
ポランスキーも例によって、ニコルソンの鼻を切るギャングの一人として出てくる。
ジェリー・ゴールドスミスの音楽が素晴らしい。
1974年、パラマウント映画。いくつかのアカデミー賞を受賞している。
内容は問題あるが、その世界の雰囲気は素晴らしい映画である。