『新座頭市 破れ! 唐人剣』

香港映画のスター王羽を迎えての座頭市。王羽とは、片腕ドラゴンのジミー・ウォングで、こうした香港映画スターとの競演という発想がすごい。もともと、ブルース・リーのカンフー映画は、勝新の座頭市にヒントを得たものである。『座頭市』は香港をはじめ東南アジアやラテンアメリカ等、第三世界でも大ヒット作だった。

勝新がすごいのは、愛嬌とユーモアがあることで(たけしが逆立ちしてもかなわない)、ここでも王との言葉が通じないやり取りや、てんぷくトリオの三波伸介が同様の盲目のあんまで、その会話も実におかしい。

勝新は、名人芸なので、相手役が上手いと実力を発揮する。ここでの三波や酒場女・浜木綿子とのやり取りや、王とのアクションシーンはすごい。
同じようにすごいのに、いかさま師・三木のり平とのからみが抜群の『座頭市二段切り』がある。
これには、のり平の娘で小林幸子が出ている。

『唐人剣』の監督安田公義は、大映京都のベテラン、確か稲垣浩の助監督で、稲垣ゆずりのテンポと画面構成がいい。
森一生以上の職人監督だったので、名作と言われるものがなく低評価だが、安田道代が主演した現代劇の『殺人者』も傑作だったと思う。
こういう職人監督は本当にいなくなった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする