民芸の『時を接ぐ』を見て、岸富美子のインタビューの小冊子『はばたく映画人生』があったので買う。
そこには、彼女の感想として、1953年に帰国したとき、「日本がアメリカの植民地になっているように見えた」とある。
それは監督の内田吐夢も同じで、1955年に日活で作った映画『自分の穴の中で』で、三国連太郎に、
「日本はアメリカの地方みたいなものですから」と言わせている。
満州にいて、戦後すぐには帰国せず、1953年に帰国した内田や岸のような「浦島太郎」には、戦後の日本は、そのように見えたのは事実だと思う。
小津安二郎も、『長屋紳士録』や『風の中の牝鶏』の根底には、そうした戦後日本への批判があるのだから。