『モスラ』の原作

1961年の東宝の空想科学映画(当時はSFという言葉はなかった)『モスラ』の脚本は、都はるみの『あんこ椿は恋の花』の作詞家の関沢新一だが、原作は中村真一郎、福永武彦、堀田善衛になっている。
以前から、原作はどういうものか気になっていたが、中村の『わが点鬼簿』に書いてあった。

中村と親交のあった東宝のプロデューサー椎野英之を介して田中友幸から、怪獣映画のアイディアの依頼があり、3人が考え「モスラ」が出来た。
そして、そのラスト・シーンは、国会議事堂にまゆを張ったモスラを攻撃するため自衛隊が出動する。
と、自動的に安保条約が発動されるので、国会の周りをデモ隊が囲む。
また、ニューヨークの国連安保理事会では、米・ソが米軍の出動をめぐって激論する、と言うものだった。
すると、田中友幸氏は、
「どうぞ独立プロでお撮りください」と言ったそうだ。
そこで、現在の結末になった。
中村たちが企画した結末になれば、実に空前絶後の作品になったと思うが、邦画5社の中では無理な筋書きだっただろう。

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