10月は、寄付の季節で、1日には、赤い羽根の共同募金が行われている。
街頭の駅などでは、寄付を呼びかける列が並び、中にはどうやってくぐりぬけようかなどと不埒な考えをする人もいるだろう。
この街頭寄付を呼びかけるのは、多くは地域の民生委員協議会が多いが、場所によっては、日赤奉仕団、日本赤十字奉仕団がするところもある。
そして、この日赤奉仕団という組織も大変不思議な団体なのである。
多分、横浜のような大都市では、その組織力は大したことはないが、地方に行くと、この日赤奉仕団はきわめて強力な団体なのである。
なぜか、「皇室の方々にお近づきになれる」からである。
よく知られているように、日赤の名誉総裁は、皇后陛下である。その他、皇室の女性が名誉役員になっておられる。
年に一度、日赤の全国大会があり、あるとき私も区の事務局長として行った。
明治神宮会館で、まず表彰式がある。
表彰されるのは、日赤に多額の寄付をした方である。大体、100万円以上だろうか。
順に呼ばれ、表彰される。
その壇上には、皇后陛下以下の皇室の女性が全員並んでいるのだ。
皇族たちの御前で、表彰状を頂くのは、多分地方の方々には、きわめて名誉なことなのだろう、みなモーニング、着物等の礼装で受賞を恭しく受ける。
午後は、歌手のショーで、このときは水前寺清子だった。これも面白い人選である。
そんなこともあり、日赤奉仕団は地方では、大変力のある団体になっている。
たとえば、昔のことになるが、サッカー・ワールドカップが日韓共催で行われた。
その際、各地方で階開催の誘致活動が全国的に行われた。
競技の開催を誘致するのは、行政は勿論だが、民間では商工会議所や青年会議所が中心になった。
だが、その実働部隊になって、署名活動をしたのも、実際は各地域の奉仕団だったというのが結構あったようだ。
日赤奉仕団のユニフォームは、例の割烹着で、彼らは奉仕着というのだが、どこか戦時中の出征風景のようで、時代錯誤のように見えるのだが、今日も日本中のどこかで活躍しておられるのだろうか。
今、寺島しのぶ主演で、映画『キャタピラー』が公開されているが、彼女が着ているのが割烹着で、あれを見ると奉仕団を思い出してしまう。