言うまでもなく、座頭市の大ヒットからできた劇画『めくらのお市』の物語の映画化4作目で、主役松山容子が原作者棚下照生と結婚して引退してしため、これが最後の作品になった。
座頭市もそうだが、盛んに「どめくら!」等の台詞が飛び交うので、地上波では絶対に放送できない作品である。
話は、海辺の貧しい村で、漁業の岸壁用地を代官が再開発し、大きな港を作ろうとし、漁民たちにはそれなりの補償金を払おうとする。
これは、なんとなく成田空港の建設の際の反対運動を思わせる設定だが、勿論そんなことはどうでもよい。
監督市村泰一、脚本高田宏治だが、京都ではなく松竹大船作品である。
ヤクザと岡っ引きの二足の草鞋をはく親分がいて、補償金をピンハネし、漁民にはわずかしか渡さずに立ち退きさせようと長屋を壊す。
この悪人が田崎潤で、村人側に立つ善人の庄屋が曾我廼家明蝶。
お市は、魚民側に立って悪を暴き、彼らと戦い、最後は勝利する。
悪人側の用心棒が丹波哲郎で、お市と不思議な交流があるが、実は幕府の隠密であることが明かされる。
松山容子の殺陣は結構上手だが、元々日本舞踊をやっていた性か、台詞を言う時も、クネクネと体を動かすのが大変気になる。
要は、いかに勝新太郎の座頭市の影響が甚大であったかを証明する作品である。
チャンネルNECO