これも時代の趨勢

先週、各社の新聞に神奈川県が県立図書館の閉館、つまり県立図書館での閲覧や貸出を中止すると発表した。

各市町村図書館を通じた蔵書資料の貸出は続けるとのことだが、紅葉丘と川崎の県立図書館の一般利用はできなくなる。

私が、横浜市中央図書館にいた時から、紅葉丘の県立図書館には、ある種の違和感を抱いていた。

一口にして言えば、

「ここは昭和20年代のような施設だな」であった。

静かで人が少ない館内、入館にあたっては、カバン等の私物は、ロッカーに入れるなど、「人を見たら泥棒と思え」という思想。

地下の食堂の昭和30年代と思えるような品目の安さと味のひどさ。

ともかく、ここには多くの利用者に使って貰おうという姿勢がどこにも感じられなかった。

だが、ここは昭和29年の開館当時は、最先端の文化施設だったのである。

石原裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明主演、舛田利雄監督の1963年の名作『赤いハンカチ』では、浅丘ルリ子が、裕次郎が起こした事件について調べるため、県立図書館に来て、新聞を調べるシーンがある。

この県立図書館の他、音楽堂、青少年センターは、神奈川県文化センターとして、文化政策の中心として位置づけられていた。

だが、今そこに文化センターの面影は薄れている。

ここには、かつて青少年の施設・ユースホステルもあったが、利用者の低下でとっくの昔に廃止されている。

これらは、すべて時代の変化と横浜市など、市町村の文化行政が進んだ結果である。

もう一つ、大きな理由として、紅葉丘が、その名の通り小高い丘なので、高齢化時代の今日、一一歩いて登るのが辛いということも大きいと思う。

その例として、かってこのエリアに神社が作ったホテル開陽亭があったが、それも利用者低下で、廃館になり、今は結婚専門の施設になっている。

いろいろとご意見はあるだろうが、時代の趨勢と言うしかないと私は思う。

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コメント

  1. 闘いうどん より:

    Unknown
    いつから利用できなくなるのですか? 市立の図書館だと貸出期限が二週間しかないので、とても不便です。

  2. さすらい日乗 より:

    延長できますが
    横浜市立図書館の貸出は、予約がなければさらに二週間延長できます。それは、どこも同じだと思います。

    また、今回の計画でも県立が持っている資料の貸出がなくなるのではなく、市町村図書館を通じて利用する計画だと思います。
    詳しいことは県立図書館にお聞きください。