『色暦・大奥秘話』

1971年11月、以後17年間続いた日活ロマン・ポルノの1作目で、監督はすでに「ハレンチ学園」を撮っていた林功。

主演は小川節子で、初期のロマン・ポルノで時代劇を中心に多数の作品に出ていたが、これは見ていなかった。

江戸城の大奥に奥女中として上がった娘の小川は、恋しい恋人の西川洋一とお寺に参拝の折、隠れてセックスしてしまう。

実は、お局様の松井康子も寺の坊主とやっているのが笑える。

林は、喜劇的な作品が多く、結構他にも面白い作品があった。

小川は、将軍の目にとまり、一夜を共にすることになるが、大奥の女中から「すでに男を知っている」との中傷が流れるが、その中に五月由美、後の片桐夕子の姿もみえた。

小川は、風呂場で松井康子の目の前で裸にされ、処女でないことがわかる。

見るだけでわかるのか、不思議だったが。

そして、尼寺に押し込められる。

と、恋人の友人の手引きで、二人は手に手を取って寺から逃げ、追手が来るのも構わず、まず森の中でセックスする。

そして、川岸に来ると、一艘の船があり、二人は乗り込んで向こう岸に漕ぎ出していく。

都合よく出来過ぎと思うと、こちら岸で、小川節子の父親の雪丘圭介が二人を見送っている。

全ては父親の差金で無事逃がしたのである。

いつまでも元気にセックスしておれよ、と言ったかどうかは知らないが。

江戸の町や城内等もきちんと出来ていて、衣装も綺麗でピンク映画とはまったく違う。

考えれば、この頃、日活はテレビで『大江戸捜査網』などの時代劇も作っていたので、それなりのセットもあったのだろう。

そして、この1作目には、その後のロマン・ポルノの構造がよく出ている。

主演の小川節子は、丹波哲郎のところにいた素人だが、松井康子や乱考寿らのピンク女優がいて裸のシーンを盛り上げる。

そして、脇役は、雪丘のように、日活の俳優が出ていて脇をきちんと固める。

こうした構造があったから17年間もプログラム・ピクチャーとして続くことができたのだろう。

フィルムセンター

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