大塚道子 死去

新劇女優の大塚道子が亡くなった、81歳。

浜田寅彦が亡くなった後は、劇団俳優座の代表であったそうだ。

この人は、おっかない、偉そうな伯母さんの役が多かったが、よく見ると結構美人である。昔の俳優の常で顔が異常に大きいが。

大塚道子の他、これも大部前に亡くなられているが河内桃子、さらにまだご健在だが岩崎加根子など、俳優座も結構美人がいたものである。

やはり全盛時代には、優秀な人材が集まるものだということの証だろう。

さて、大塚道子だが、彼女には日本映画史に残る名演がある。

1962年の東宝の鈴木英夫監督の『その場所に女ありて』である。

ここで、彼女は広告代理店の、司葉子、水野久美、原知佐子らがいる女性職場の「お局様」のようなタイピストで、男言葉を話す。

この作品は、実際に広告代理店にいた人の話が原案になっているので、大変リアリティがあり、しかも司葉子と宝田明の恋愛劇にもなっている。

大塚は、現在のキャリア・ウーマンの先駆けのような女性を大変上手に演じている。

多分、戦後の新劇運動の中で、大塚道子自身が、そうしたところを担ってきたことへの思いも反映されていたのではないかと思う。

あのように立派な顔をして、やや教条的だが、正しいことをいう女性を最近はあまり見ない。

元社会党の党首土井たか子あたりが最後だろうか。

政治的力量はともかくとして、土井たか子は、現在の福島瑞穂の矮小さに比べれば、やはり大政党の党首にふさわしい貫禄があったと思う。

日本の戦後の演劇、映画を担われた名女優のご冥福をお祈りする。

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コメント

  1. シーリア より:

    覚えていますか?
    またアーデンの森から来ました。
    少し下世話な話になりますが、
    大塚道子は一応、俳優座代表だったんですよね確か…。
    今度は誰がなるのだろう?
    栗原小巻じゃまだ早すぎすかな?

  2. 多分
    加藤剛でしょうね。
    今の俳優座は、栗原小巻劇団ですが、全体的な人気から見て、加藤剛ではないでしょうか。

  3. シーリア♪ より:

    返信ありがとうございます♪
    ロザリンドの目を盗んでまた来ちゃいました♪
    やっぱり加藤剛かあ。
    おそらく…どこの劇団もそうなのかもしれないのかわかりませんが、俳優座は老舗劇団の中でも少し痛手な所があると思います。
    文学座と違ってメディア面でも目立つ役者さんが極めて少ないかなと…。
    いや、私の勉強不足かもしれませんね。ごめんなさい。

    ・補足

    さすらいさんは山本圭が俳優座時代に演じたシーリアってご覧になったことがありますか?

  4. その通りですね
    私は、昔から「俳優座、阪急・オリックス説」をとっています。
    かつて、イチローを筆頭に優れた選手を擁し日本シリーズを連覇した阪急・オリックスは、このところいつもBクラスです。
    オリックスは、オーナーのケチによる選手の放出が原因ですが、俳優座もスターがいなくなったことが遠因です。
    詳しく書くと長くなるので。

    山本圭のシーリアは見ていません。

  5. シーリア より:

    遅れてごめんなさい♪
    「俳優座・オリックス・阪急」かあ…。
    確かにイチロー時分の勢いや華やかさは何処かへ消えちゃいましたね。
    オーナーがシブチンだとちょっとそれは痛いなぁ。現場の人間をもっと大切にしてあげなくちゃね。
    永田雅一みたいなくらい。(違ったかな?)

    私も山本圭のシーリアはリアルタイムでは観た事がなくスナップショットで見た程度なのですが、どうも…そのいで立ち、特にウィグの形が…嘗て彼が付き合っていた彼女を彷彿とさせていて…(汗)。
    それが妙にインパクトがあってペンネームを肖らせていただきました♪

    ・補足
    そのスナップショットを見たのは小田島雄志の「舞台人スナップショット」というエッセイで見ました。