TPPと言うと、コメを代表とする農業分野、あるいはせいぜい医療や保険制度の問題で、文化や芸術は関係ないと思われるに違いない。
だが、実はTPP交渉には、著作権も対象に入っていて、アメリカは著作権の存続期間を50年から70年に延長することを日本に求めているのである。
これは、よく知られているように「ミッキー・マウス法」であり、ディズニーをはじめとするアメリカの映画、音楽産業の利益を増大させることを狙ったものである。
TPPなんて関係ないので、どうでも良いと思っていると、知らないうちに著作権の存続期間が、70年に伸ばされてしまうことになる。
やはり、アベノミクスで浮かれていないで、政治はきちんと見ておかなくてはいけないのである。
私は、著作権の理想形は、「詠み人知らず」になることだと思っている。
その理由に、間違いなく世界中で一番読まれているだろう、キリスト教の「聖書」やイスラム教の「コーラン」に著作権はあるだろうか。
教会へのご寄付は別として、聖書の著作権料を誰かに払ったという話は聞いたことがない。
「聖書」は、その意味で、作者は伝説の彼方であり、ある種の詠み人知らずである。
だが、今もなお多くの人に多大な影響を与えている、それが著作物の理想形だろうと私は思う。