『いちどは行きたい女風呂』

1970年、日活末期ダイニチ映配として公開された江崎実生監督作品、主演は浜田光夫、沖雅也、夏純子、そして児玉邸セスナ機で自決した前野霜一郎。

代々木の予備校に通い、獣医師大を目指している浪人生が犬好きの浜田光夫と友人の前野で、前野の妹でスナックをやっているが夏純子。

予備校で高校生の沖雅也と知り合うが、彼の家は銭湯をやっている。

彼らは、翌年春に無事大学に入り、新宿などで大学生活を謳歌する。

当時人気だったゴーゴー・バーを模したセットも出てきて、その女王は元華族の娘の長谷川照子で、彼女はモデル出身で、この時期の日活によく出ていた。

最後は、犬に引かれて銭湯の中を浜田、沖、前野らが縦横に動き回り、当然にも女湯の裸女が見られるという趣向。

テレビの伝説的ドラマ『時間ですよ』も、向田邦子脚本、久世光彦演出で大ヒットしたと言われるが、本当は毎回出る女湯シーンの裸のためだった。

江崎実生はなんでも作る人だが、この作品の主導者は脚本の山崎巌だろう。

この愚作で唯一注目されるのが、諸処に鈴木忠志演出の早稲田小劇場の『ホワイト・コメディー』のポスターが貼ってあること。

ゴーゴー・バーの乱交シーンでは暗黒舞踏の連中も出ているようだ。残念ながら土方巽の姿は見えないが、もし見えたら貴重な映像だが。

この頃、山崎はシナリオの学校でも教えていたので、そこで知り合った学生からヒントを得て、さらに彼らの参加を得てできた映画のように思える。

大学映研同期の金子裕も、在学中に日活で助監督として働いていたし、高校の先輩の鈴木輝一さんも若松プロで脚本を書いていたそうだ。

どちらも末期的症状とも言えるが、若い才能を生かしていたとも言えるだろう。

チャンネルNECO

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