『東京・パリ 青春の条件』

                              

去年の年末だが、橋幸夫主演の1970年の松竹映画『東京・パリ 青春の条件』を見た

橋幸夫芸能生活10周年記念映画で、舟木一夫、西郷輝彦の御三家が出ている他、三田明、黛ジュン、森田健作らのスターが出ている。

斎藤耕一は、脚本を変えてしまう監督で有名だったが、これは忠実に撮っていて悪くない。

要はゴダール風の即興演出が好きだったのだろう、多くの脚本家と揉め事を起こしている。

写真大学を出て斎藤は、映画のスチール・カメラマンから脚本家、そして監督になった人。

東映でスチールマンとして有名になり、日活に引き抜かれ、スチール作品の他、石原裕次郎とも親しくなり裕次郎の写真集も出した。

その後、中平康の『月曜日のユカ』の脚本、今村昌平の『人類学入門・エロ事師たち』への参加を経て、自作『囁きのジョー』で監督デビューした。

主に松竹で娯楽映画を撮っていたが、中には『約束』や『旅の重さ』のような名作もあった。

彼はジャズ・マニアとしてもかなり有名な存在で中村とうようさんが、新宿のレコード屋でよく会ったと言っていた他、雑誌『レコード・コレクターズ』の座談会にも出たことがあった。

日本映画では数少ない映像と音楽のセンスの良い監督だったと言えるだろう。

そのように映像と音楽は良いが、あえて言えば中身のない人だったが、こういう娯楽青春映画には最適の監督だったようだ。

相手役の小川ひろみは、結構可愛かったがすぐに辞めて結婚したとは、その後の松竹大船の衰退を考えるとまことに賢明なことであった

ここで斎藤は、小川の台詞を独白にしたり、ナレーション風にするなどして上手く処理している。

斎藤の作品としては、かなり良い方の部類だと思う。

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