昭和30年の新東宝映画『たけくらべ』をビデオで見たが、これは公開当時に小学校の校庭で夏休み映画会として見たことがある。
昭和30年頃、学校、市民会館、公民館等の公共施設で盛んに映画会が行われていた。野外が多く、中には数千人を集める大規模なものもあり、そうしたものは実は戦前から新聞社等の主催で、遊園地や海水浴場等で行われてきたそうだ。
『たけくらべ』は、言うまでもなく樋口一葉の小説を八住利雄が脚色し、五所平之助が監督したもので、主演は美空ひばり、岸恵子の姉妹、ひばりの相手役の信如は北原隆、さらに正太は市川染五郎(現松本幸四郎)で、その他稲吉靖、服部哲治など、その後青春ドラマで見た連中が出ている。
下町出身でサイレント時代からの名監督五所なので、明治の時代表現が極めて細かい。
音楽が芥川也寸志だが、テーマのボレロのようなメロディーは、NHKテレビの大河ドラマの『赤穂浪士』と全く同じである。
勿論、この方が先なので、芥川はあのメロディーが余程好きだったのだろう。
この映画が製作されたとき、今井正も樋口一葉原作の『にごりえ』を作っており、言わば樋口作品競作だったので、今井のオムバスドラマの名作は、「十三夜」「わかれ道」「にごりえ」「おりき」「大つごもり」を脚色しているが、「にごりえ」は、入れていない。同業者としての配慮である。昔の人は偉かった。
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夏休み 映画
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