「各社はフィルムをどんどんジャンクしている」

昨日、日本映画学会の例会が慶応大学で開かれて、私も「座付き作家としての小津安二郎」を発表した。

中で、元大映にいて、その後アルタミラ・ピクチャーを設立し、様々な作品を製作してきた桝井昌志さんのお話があり、非常に面白かった。

井筒和幸監督の『犬死にせすもの』は、半年以上撮影にかかったのに評判が悪かった。

「2本立てならば」ということで、急きょ岡本喜八監督に2週間で『ジャズ大名』を作ってもらい、これは非常に面白く、ともかく2本立てで公開したが、大ずっこけになる。

私も、2本の予告編を見た記憶があり、その後シネマジャックで『ジャズ大名』は見た。

だが、『犬死にせすもの』は見たことがなく、桝井さんは「日本人で見た人はほとんどいないだろう」とまで言っていた。

   

今度、『プロデューサー』という、大映時代の上司・山本洋氏から、元日活の伊地知啓氏に至るまでの、プロデューサーのインタビューを集めた作品を公開するとのことで、一部も上映された。

その後、懇親会があり、桝井氏と話し、先日川崎で見た細野監督の『しのいだれ』のフィルムの状態がひどくてピンボケだったことを話す。

角川は、フィルムをどんどんジャンクし、営業用上意義あるものはデジタル化しているとのこと。

保管費用等を考えれば企業としては仕方がないのかもしれないが、要は映画が文化か否かの問題だと思う。

日本では映画は、文化ではないから、保存する必要がないのだろう。

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