『私の自由について』

これは昨年、安倍内閣の安保法案に反対し、大学生を中心に活動したシールズの半年間を追ったドキュメンタリーで、非常に感動的だった。

よく知られているように、北九州でキリスト教の牧師の家に生まれ育った大学生奥田愛基君をはじめ、中心の数人、さらに各集会での参加者のマイクによる発言等を撮影した長編である。

           

シールズについては、いろいろな批判があるようだが、奥田君は明治学院大で、その他上智大、あるいは帰国子女、親がギャンブル依存症で奨学金で通学している者など、様々な人間がいる。

「宗教系の二流大学の学生が多い」という批判もあるようだが、それは逆である。

戦前の東大新人会から、戦後の日本共産党の学生組織に至るまで、それは国立大等のエリート学生の上からの民衆啓蒙運動であり、ソ連共産党の秘密主義、セクト主義の伝統を引き継いでいた。

われわれの、全共闘時代も、各セクトはわれわれ学生を指導し、啓蒙していたが、実際にわれわれは、彼らの指導など無関係だと思っていた。

その証拠に、なぜか運動は、その最盛期になると自然に多くの人間が集まってきて盛り上がるものなのである。

そこにセクトからの運動や組織化は本当はほとんど無関係なのである。

それは、芝居をやっている時にも、いつも感じたものであり、芝居の準備が上手くいっている時は、自然とどこからともなく参加者が集まってくるものなのである。

彼らの活動で、当初は500人だった参加者は、どんどん増えて最後は10万人にまでなる。

ここでは、彼らの運動のツールはネットとスマフォなのであり、時代の変化を強く感じた。

また、PCがすべてアップルだったのは偶然ではないのだろうか。

ただ、もちろん、与党の賛成多数で、安保法案は可決されてしまう。

だが、失望することはまったくない。いつか、どこかで、ここで彼らが受けた感動は、再びどこかで再発するだろうからである。

今どきの若者にエールを送りたい、何度でもやってみることですよと。

横浜シネマリン

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