『エロス+虐殺』の手法

吉田喜重の映画『エロス+虐殺』で大変感心した手法があった。

岡田まり子が扮する伊藤野枝が九州から上京するとき、新幹線に乗ってくるのである。
衣装は大正時代のもので、そのまま新幹線にのって東京駅に下りる。周囲の乗客の困惑した反応も写っている。

言わば、大正時代と昭和40年代が同じ画面にあるわけで、言わば「現在と過去を同時に見る」構造になっている。
これは、大杉らの問題が現在の課題でもある、という作者のメッセージになっていた。
勿論、予算不足から来た苦肉の策だが、大変面白い前衛的な手法だった。
最近、テレビで過去の再現ドラマをやるとき、必要以上にセットにこったりするが無用のことである。

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