いきなり硬い話だが、「三位一体改革」の義務教育費国庫負担の削減について考える。結論から言えば反対である。歴代保守党内閣の努力をなくさせるものだろう。
私は、3年間ブラジル語を習っているが、この義務教育費国庫負担制度が改正されると極端に言えばブラジルの教育のようになってしまうのではないか、と危惧する。
よく途上国では、一家の収入のため働きに出るので、子供が学校に来ないという話がある。しかし、ブラジルでは(特に田舎では)先生が来なくなる、ことがあるそうだ。
ブラジルでは小・中学校の先生の給与は安く、普通の主婦が勤務しているケースも多い。だから、近所に良い工場ができたりするとそちらに転職してしまうので、先生がある日突然いなくなる、といったことがあるそうだ。先生の資格も簡単で、初等教育の教師に厳格な資格があるのは、つい最近まで日本と旧ソ連くらいで、アメリカもなかったのだそうだ。最近は、アメリカは日本を見習い義務教育教員の資格を引き上げているそうだが。
その日本が義務教育人件費の補助を削減するのは、100年の悪政である。
教員給与は、教育公務員確保特例法により一般公務員より高くなっている。その分、超過勤務手当てもないのだが。これは、田中角栄が発案したもので、教育水準を上げるには良い教員を確保すべきで、そのためには給与を上げるという、簡単だが理にかなった政策なのである。この辺、田中角栄は偉い。
大体、日本の保守が他の国の為政者に比べて優れている点は、一般国民の教育に熱心な点で、これは「貧民には教育を施すな」という西欧の為政者に比べ大変優れている点である。
その義務教育の根幹である教員人件費の国庫負担を削減するのは、長期的に見れば財政力の弱い地方の市町村の教育水準を引き下げることになるだろう。
小泉首相は、米百俵で教育の重要性を説いたはずだが、その考えはどこに行ったのだろうか。
コメント
ブラジル
ブラジルの例は、極端ですね。
生徒も学校に来られないのがいるので、政府が
子供の働きによる収入分のお金を直接に家庭に出すようにしました。
でも、そのお金を貰っても、やはり子供は働き続け、学校には来ないという話があります。
なんだか、悲しすぎて。
何でも、政府に頼るような日本の最近の風潮はどうかと思うことがあります。
誰のための教育なんでしょうかね。