前も書いたが、ファイルーツは、アラブで最高の女性歌手である。
レバノンに生まれ、ラジオやバールベック音楽祭で有名になり、長年アラブ世界に君臨してきた。
一度聞いたら、絶対に忘れられない「ベルベット・ボイス」と言われる独特のふるえるような歌い方。日本で言えば、いつも泣き崩れている中島みゆきの歌い方を想像すれば、近いだろう。
私は、30年前に銀座のレコード店ヤマハでアメリカ・モニター盤のバールベック音楽祭実況録音版『デイズ・オブ・ファクルー・イデーン』を買い、ずっと愛聴してきた。
その後、『愛しのベイルート』など、多数のLP、カセット、CDも購入してきた。
フォークダンスの『マイム・マイム』、70年代に日本でも仲雅美の歌で大ヒットした『ポリシカ・ポーレ』もアラブの曲であり、それらに収録されている。
この映画は、ファイルーツに対してのベイルート市民の様々な声をインタビューしたもので、その裏に彼女の声がかぶさる。
オランダ制作の映画で、パレスチナ寄り反イスラエルの声が多いが、右派キリスト教徒のタクシー運転手も出てくる。
この辺の政治、宗教の複雑さは、我々にはなかなか分かりにくい。
最後、ファイルーツの『朝も夜も』を歌う姿で終わる。
たった1曲とは残念だが、彼女の歌う姿を見られただけで大変うれしい。
ファイルーツは、日本で昔はフェイルーツと表記されていたが、ファイルーツが正しいとして、現在はファイルーツになった。
ところが、ベイルート市民はすべてフェイルーツと言っている。一体どちらが正しいのだろうか。
翻訳の重信メイは、赤軍派重信房子の娘か。
会場のアップル・リンク・ファクトリーは、前はパルコの近くにあり8年前『ポール・ボウルズの告白』を見たが、現在は広くなり東急文化村の奥に移転していた。
コメント
ファイルーツが正しいのではと書いていますが、フェイルーツが正しいと思います。
関係ない人にはどうでも良いことですが。