横浜、野毛のにぎわい座で、「ネオ・野毛ローマンス」というイベントが行われた。
高橋長英はじめ、元横浜ボートシアターの野口英、志麻明子らが横浜ゆかりの小説の語りをやった。
私は、一人芝居とか語りとは、役者のエゴイズムで、見るものは解放されないので、好きではないが、これもそうだった。
だが、読まれた山本周五郎の『季節のない街』の町が、横浜市南区の中村町や八幡町だったことは初めて知った。
これを原作とした黒澤明の『どですかでん』が東京の埋立地で、『青べか物語』が浦安だったので、これも東京の下町だと思っていたが、横浜だったのだ。
そして、これは山本の『どん底』だと思った。
彼は、芝居、歌舞伎が大好きで、当時の市川染五郎・中村万之助兄弟がご贔屓だったそうだ。
この小説を聞くと、改めて人物が明確に芝居のように描かれていたことが分かった。
この野毛の町づくりイベントも、語りなどという中途半端なものではなく、きちんと芝居作りを目指すべきだと思った。
山本周五郎作品なら、いくらでも劇化できると思う。前進座の例もあったはずだ。