『夜霧の第二国道』

1956年、舛田利雄の監督第二作、主演は小林旭で、歌っていたフランク・永井も出ている。

シスターピクチャーという添物作品で、50分以下だが、内容はきわめて濃い。

ハワイから、羽田空港、そして横浜に、小林旭とフランク・永井がやって来る。

ハワイのギャングのボスから、女とダイヤを奪って若い男が横浜に逃亡し、それを取り戻しに旭は、ボスから派遣されてきたのである。

横浜のギャングの連中は、三島耕、以下深江章喜、柳瀬史郎など後の日活アクションで見る役者たち。

女は、かつて旭と関係し、ハワイの米国人ボスから逃げようとした香月美奈子。

香月美奈子は、かなりバタ臭い女優で、当時では珍しい悪女、バンプ型である。

また、小林旭としても、ヤクザ的な役柄は、これが最初で、これまでは純情青年的な役が多かった。

というよりも、アクションスターという役柄自体が存在しなかったのだが。

作品全体に照明を暗くしていて、フィルムノアールの雰囲気をよく出している。

逃亡してきた男は、二世の岡田真澄で、旭とのアクションの最中に香月に撃ち殺されてしまう。

最後、旭は三島耕ら連中との戦いが、ビール工場で行われ、工場のコンベアー等も使い上手く演出している。

旭は、無事ダイヤも取り戻し、悪党との戦いも勝ち、ハワイに向かうが、途中で第二国道を引き返し横浜に戻ってくる。

岡田真澄の妹で、純情な娘の堀川京子に戻って来るのは、後の小林旭・浅丘ルリ子の『渡り鳥シリーズ』のパターンにつながると思われる。

また、日本人がハワイとは言え、アメリカの組織から自立し、互いに国内勢力で戦うというのは、日本のある種の自立を示唆していて大変興味深い。

フィルムセンター

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