『銭ゲバ』  「金で買えないものはない!」

新文芸座の加藤武追悼特集、初めて見る映画で、日活を辞めたスタッフらで作られた近代放映という会社で製作され東宝で公開されたもの。

それは、テレビ映画も作ったがすぐに潰れて、映画作品はこれだけのようだ。

                                                     

原作は、ジョージ・秋山の漫画で大ヒットしていて、映画も始りは快調で、唐十郎が演じる主人公蒲郡風太郎が金に取り付かれて悪行を重ねていくのは面白い。

車のあたり屋行為から大邸宅に入り込む会社社長は曾我廼家明蝶で、娘は緑魔子と横山リエ、さらに横山によく似ていて殺し屋の左とん平の恋人が誰かと思うと鈴木いずみと、当時のアングラスターが出ている。社長の運転手も岸田森で、彼も当時はアングラ劇の人間だった。

だが、風太郎が、社長を殺して自分が社長になるあたりからテンポが落ちてくる。加藤はそのころに出てくる風太郎の本当に父で、田舎の土方だが、彼も殺されてしまう。

風太郎を追うのが、退職刑事の信欣三で、この辺は多分、日活とのつながりだろうが、彼は適役である。

最後、海辺で風太郎の気が変になっていくことを示唆して終わる。要は監督の和田嘉訓の限界だろう。

和田は、多くの先輩を押しのけて20代で映画『自動車泥棒』で監督デビューしたが、、まったく駄目だった。その後、ドリフターズ映画専門になり、それも上手くいかなくなると東宝をやめソニーに行って、もう亡くなれたとのこと。

この映画に一つ意味があるとすれば、風太郎が言う台詞の「金で買えないものはない!」である。

以前、村上なんとかやホリエモンがさんざ言った台詞の原点がここにあった。

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