初めて面白い教室劇を見た

高校演劇のジャンルに「教室劇」がある。多分、高校演劇の70%くらいは、この教室劇だと思う。
教室劇は、教室の放課後を舞台に高校生が演じるドラマであるが、勿論教室に特別面白いドラマはあるはずもないので、大抵は退屈である。
友人同士で秘密をすぐに言わなかったとか、本当は最初から好きだ嫌いだった等のどうでもいい筋書きに終始する。

泉区民文化センターテアトル・フォンテで横浜高校演劇連盟の中央地区大会があり、予定が何もなかったので見に行く。
昼前の平沼高校の『マオウ』は、シューベルトの歌曲『魔王』をヒントにしたものらしいが、見たのが最後の20分くらいなのでコメントしないが、これも女子高生の自室で起きるもので、教室劇的なものらしかった。

昼食後の岸根高校の『空×虹』も、高校演劇部の話で、一人の生徒が引越しで部を辞めるのをすぐに友人に言わなかったことが唯一のドラマで、これは少々苦しかった。少々皮肉に言えば、普通の高校の普通の生徒の劇で、特徴に乏しかった

県立横浜緑ヶ丘は、井上ひさしの『父と暮らせば』を1時間に短縮したもの。
父と娘の二人だけの芝居だが、二人がよく稽古したらしくてなかなか上手く、きちんと演じていたのは感心した。
特に父親をやった男は、劇の辻萬長、映画の原田芳雄らとは全く異なる資質だが、庶民的な親父をよく表現していた。

そして、一番感心したのは、横浜共立学園の『雨の日の放課後に』だった。
これも、女子高の雨の日の午後の教室で、5人の生徒と二人の教師の劇。
ただし、ドラマの進行がきちんとしていて、また元ソフトボール部の筋肉女(横浜共立のような「お嬢さん学校」にこんな粗暴な女生徒がいるとは思えないが)や真面目な女子学生などが、役者たちに合わせて良く書き分けられていて退屈しなかった。
最後、元ソフトボール部は両親の離婚で高校中退することが分かり、真面目学生と和解する。
劇作も演出も生徒らしいが、なかなか上手くて演技も立派で、初めて教室劇で面白いものを見た。

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