『嵐をよぶ18人』と任田順好(沢淑子)

東中野ポレポレでやっている「吉田喜重特集」で、『エロス+虐殺』と『嵐をよぶ18人』を見た。
松竹を出てからの吉田の映画は、全く面白くないので(松竹時代もつまらないが、それなりに見所がある)、『エロス+虐殺』は期待していなかったが、意外に面白かった。この時期の作品では最も良いのでないか。
大杉栄(細川俊之)、伊藤野枝(岡田まり子)、神近市子(楠侑子)の三角関係で、葉山の「日陰茶屋事件」も出てくる。
この件で生存していた神近市子氏から公開中止の仮処分の訴えがあり、一部改訂で和解したはずだ。そうした経緯が作品に、緊張感を与えたのか。
挿入される原田大二郎、川辺久造らのアングラ的映画撮影の話は全くくだらない。

『嵐をよぶ18人』は、呉の中小造船所の下請け組員(早川保)と、そこに売られてきた18人の少年の話だが、18人にドラマはなく、恋人・香山美子との話が中心になる。香山は吉永小百合似の美人だったが、松竹が下り坂だったので決定打がなく、テレビの『銭型平次』で活躍することになる。
吉田が、大船から京都撮影所に行き作った作品。松竹京都は、この直後に一時閉鎖されるが、『必殺シリーズ』のテレビ映画で生き抜き、大船がなくなったのに対し様々な経緯の後再開され、山田洋次作品など時代劇を作っているのは実に皮肉。
『嵐をよぶ18人』は、撮影の成島東一郎がノーライト撮影の実験をしたのか画面がひどく暗く、18人の顔はほとんど分からない。最も分かっても知ってる役者も出ていないが。
広島のオデン屋のシーンで、任田順好(沢淑子)が出ていた。汐路章と並び加藤泰映画に必ず出てくる、あの女優である。
関西の役者なので、映画会社は違うが出たのだろう。
  
この2本なら、昨日までやっていた「『日本脱出』の方が良いかったかな」と反省した。『日本脱出』は、東京五輪の聖火リレーにまぎれて逃亡するという最後だけが面白い映画だが、公開時に三番館で見たことがあり、今回は見送ったのだ。

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