一昨日の2月26日は、昭和11年の「2・26事件」から72年目である。
政治学者秦郁彦氏によれば、日本には2・26事件産業と言うものがあり、この時期になると「新資料や新証言」が出てくるものだそうだ。
だが、この数年はそうしたものはない。
そろそろ種切れなのだろう。
2・26事件ほど、近代日本の政治制度の矛盾というか、興味深い事件はない。
「昭和維新」を掲げ「尊王討奸」を目標に、若手将校らは昭和天皇の周辺にいる西欧的な重鎮が天皇と日本を誤らせているとして、彼らを殺害した。
だが、昭和天皇は、本質的に近代的合理主義、西欧的文化を信じる人間で、日本的な愛国主義に最も遠く、強く嫌悪する人だった。
そうした天皇の真意が、多くの国民には理解できなかったのは、まさに戦前の天皇制が、天皇を「神聖にして侵すべからず」としたであることは、実に矛盾している。
現在では、いろいろな問題はあるが、天皇自身をはじめ、皇太子等の言動が披露されるのは、大変良いことであり、素晴らしい変化なのである。