野良猫ロックシリーズ第二作、監督藤田敏八。
東京の湾岸地帯、多分夢の島や江東区あたりを根拠にしている若者ペリカンクラブの、藤竜也、梶芽衣子、地井武男、夏夕介、前野霜一郎らの話。
謎の美女・氾文雀が、惚れている地井武男に、「自分は宗教団体正教学会（創価学会のことだろう）の幹部の二号であり、夏に研修会が開催され、その寄付金を強奪しよう」と持ちかけ、彼らは海辺の海岸にキャンプに行き、現金強奪を計画する。
強奪には成功するが、警備車両が予定より多かったことから判明し、全員射殺される。
藤田映画の例によって、前半はとりとめなくドラマがなく進む。
以前私は、「藤田作品はサムエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』だ」と書いたが、ここでも登場人物は何かを待っていて、そこにはドラマが起きない。
だが、現金強奪の件になると、急にドラマが始まり、アクション映画に転化する。
そして、急速に悲劇的結末に至る。
私が知る限り他では見たことのない梶芽衣子の白い、さらに大柄な氾文雀の潜水水着姿という特典もある。
今やバラエティの常連の地井武男が、無口で、カリスマ性のある二枚目を演じているのがおかしい。
一味の一人で、銃器マニアの前野霜一郎は、その後ロッキード事件の被告だった児玉誉士夫邸に自家用セスナ機で突っ込んで自殺する。