井上ひさしが死んだ。75歳。
正直に言って、当初は井上ひさしはあまり好きではなかった。初期の戯曲の持つ、精神治療劇の趣向が嫌いだったからだ。
だが、小説『手鎖心中』を読んで、びっくりした。
すごい上手さだ。
だが、すぐに井上の芝居のファンにはならなかった。多分、彼が基本的に強い共産党支持者だったことが引っかかっていたのだと思う。
井上ひさしの芝居を見たいと思ったのは、林芙美子を描き、大竹しのぶが演じた『太鼓叩いて笛ふいて』であり、これで本当に驚き、その後はできるだけ見るようにしてきた。
そして、「新劇滅んで井上ひさしあり」と言うのが私の考えで、晩年の井上ひさしの劇は文句なしに素晴らしいと思う。
肺ガンだそうだが、やはりタバコは良くない。
喫煙者で、75歳を越えることは難しいようだ。
そうなると、残る新劇系の劇作家は小幡欣司しかいなくなる。
小幡には是非禁煙して頑張ってもらいたい。