川崎市民ミュージアムで、戦後の記録映画4本。
まずは、亀井文夫監督の『流血の記録・砂川』 1951年の立川基地拡張工事の際の「砂川闘争」の記録。
前年の記録も冒頭に少しあり、この年の10月に行われ、最後は工事断念に至る砂川闘争の記録で、警官隊とデモ隊の衝突がまるでアクション映画のような迫力。これは、昨年立川の柴崎学習館、さらにその前にフィルムセンターでも見たことがあるが、少しづつ違うように見えた。
その時々で、再編集した版があるのだと思う。
続いて、1959年に総評の金で「60年の安保条約」の問題、危険性を描いた、松本俊夫監督の『安保条約』
実は、この映画は1965年の日韓条約反対運動の時に見たことがあり、「随分と変な映画だな」と私は思い、スポンサーの総評には「わけが分からん前衛的映画」とのことで総スカンを食らった作品。今回見てみると、ギャグ漫画風のところがチープで変だが、それほどひどくはない。
むしろ、安保条約について、戦争への危険を開く条約だと言っているなど、総評・社会党の意見に結構忠実であることに驚く。
最後は、同じく松本俊夫監督の『西陣』 名作の誉れの高い作品で、なにより宮島義勇のカメラが凄い。
休憩後は、羽仁進の『絵を描くこども』 やや子供の心理と実生活を結び付け過ぎる傾向があるが、これの画面もすごくシャープである。
続いて、東京シネマが作った監督吉田正の『雪舟』 音楽が箕作秋吉で、大編成のオーケストラなのは信じがたいことだ。
最後は、羽仁進の『日本の舞踏』 南島の離島の祭式の踊りに始まり、板橋の田植え踊り、九州の花笠踊りから能、そして京舞、さらに歌舞伎の『滝夜叉』、最後は当時の国民文化的な日本舞踊の群舞まで。
能は梅若六郎、舞は勿論、井上八千代、『滝夜叉』は西川鯉三郎と尾上菊之丞、群舞は花柳徳兵衛舞踊団だった。
カラーで、なかなかすぐれた日本舞踊論だと思った。