『嫌われ松子の一生』

随分前、原作の話を聞いたとき、あまりの物語に笑ってしまった。
小学校教師、愛人、トルコ嬢、殺人犯、美容師、そしてゴミ女、最後の撲殺死まで、ストーリーは、およそ目茶苦茶である。

映画は、完全に漫画であり、小劇場演劇である。画面を過剰露出にしていて、最初から「これは嘘ですよ」と言っている。私は、ほとんど笑っていた。
何度も繰り返されるテレビの「片平なぎさ」番組が最高である。

こういう映画は大好きで、日本映画には類例がない。ラス・メイヤーの巨乳映画『ワイルド・パーティー』に似ている感じがあるが、監督は意識していたのだろうか。

主人公の中谷美紀がいい。まるで、大竹しのぶである。
音楽のセンスもいい。
間違いなくお薦めできる映画。
私が見たのは、平日の昼間で客が少なかった性か、ブラック・ユーモアが受けていなかったことが危惧される。

唯一つの欠点は、最後の撲殺死の表現がとてもあっさりしていることで、それまでの過剰表現から見れば、もう少し執拗に描いても良かったと思う。

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