『ルサルカ』

昨日は、フィルムセンターは休館、その他の映画館も見たいものがないので、東劇に行き、メトロポリタンオペラのライブ・ビューイングを見に行く。

演目は『ルサルカ』で、ドボルザーク作曲のオペラ、ドボルザークと言えば『新世界より』だが、彼は10曲のオペラも作っているとは初めて知った。

話は、水の精ルサルカの悲劇で、『人魚姫』と同じで、美しい王子にほれ、人間になった姫の悲劇である。人獣恋愛譚は、世界中にあり、日本で有名なのは『葛の葉』で、映画にもなっていて、内田吐夢監督、大川橋蔵と嵯峨三智子の『恋や恋、なすな恋』になっている。ただ、日本の葛の葉は、部落民との恋、つまり差別を描いたものだとされている。

『ルサルカ』には、そうした意識はなく、むしろ異民族間の恋だと思われる。魔法で人間にルサルカはなれるが、口がきけず、国中で「変な女だ」と噂されるが、これは異民族で言葉ができないことの象徴だろう。

最後は、二人は悲劇的に死ぬ。

言語は、はじめドイツ語かと思ったが、ドボルザークのチェコ語だそうで、ニュアンスはかなり違う。

主人公ルサルカのプリマ・ドンナ、クリスティーナ・オポライスは、若い頃のジェーン・フォンダを思わせてなかなか魅力的。演出は、女性のメアリー・ジンマーマンで、明らかにユダヤ系だが、音楽は勿論だが、衣装と美術に才能を示している。

メットのライブビューイングは、昔はスカパーでも宣伝期間だったらしく無料でやっていたが、今は一月2,300円と少し高い。それだけの価値はあるが。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする