『警察官』

1933年に、前年におきた共産党が銀行を強盗した「大森ギャング事件」を素材とした内田吐夢監督のサイレント映画。美術監督が水谷浩で、特集上映、新興キネマの作品。
大森ギャング事件は、大変な事件で、これで共産党は大打撃を受けたが、戦後、事件(や当時の武装闘争のほとんどは)は、実は警察のスパイだった「スパイM」(松村)によって起されたことが分かるという、複雑な事件である。

話は、高校の同級生だった小杉勇と中野英冶が警官と共産党に分かれ、その友情と苦悩というも、ギャングものによくある。
内田は、相当に左翼的だった人なので、小杉の苦悩は内田自身事件への戸惑いと苦悩なのだろう。

画面は、大変ダイナミックで、ラストの一味を逮捕するために、警察の車両、バイクが夜間を疾走するシーンはすごい。
ここで捉えられている東京は、モダン都市・東京である。
サイレントなので、台詞、音楽、音響が一切なく、場内にはときどき鼾が響いた。
フィルム・センター

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする