日曜日は、フィルムセンターに行き、市川雷蔵主演、三隅研次監督の『大菩薩峠』を見る。はじめは、1部だけで帰ろうかと思っていたが、1部のラストで、兄を殺され、その妻の中村玉緒も手籠めにされて、復讐に燃える宇津木兵馬の本郷功二郎と机龍之助が対決したところで終わり。
これでは次がどうなったのか、見ざるを得ないが、結局濃い霧の中での相打ちで、二人とも倒れているところから始まる。
この『大菩薩峠』は、かなりめちゃくちゃな筋で、しかも主人公の龍之介は受け身で、自身にはドラマがないので、劇はあまり盛り上がらない。
そうなると後は、出ている役者の力になってしまい、1部では島田虎之助の島田正吾がさすがに重厚なドラマを作る。
2部では、玉緒に横恋慕する旅館の主人の片山明彦が最高で、彼の芝居で映画が持っている。この時期、片山は松竹の男優だったが、もとは日活なので、出たのだと思うが、狭量で嫉妬深い男をよく演じている。
最後は、火事になり、龍之介が兵馬との決闘で崖から足を滑らせて落ちてエンドマーク。