新・東京宝塚劇場に初めて行った

次女が、就活で見に行けなくなったので、代わりに宝塚花組公演を見に行く。
『サン・テクジュペリ』と『コンガ!』

考えてみれば、2001年に改築された東京宝塚劇場に入るのは、初めて。
1970年代は、よく来たもので、まだ真帆志ぶきが専科にいて、鳳蘭、安奈淳、汀夏子、麻美れい、榛名由梨、大滝子、退団後参議院議員になった松あきら(来年引退する)などが各組のトップだった。
『ベルサイユのバラ』も全部見た。
その後、大地真央時代にも来たが、その頃から来ていない。

劇場は、以前に比べて随分横長になっている。
改築前は、となりにあった映画館スカラ座を地下に入れ、その分敷地を広げている(前のビルにあったみゆき座も同時に入れている)。
大変に横長の劇場だが、1階だけで約千席はある。
これは、宝塚市の宝塚大劇場と同じサイズの舞台にすることが大きかったのだと思う。
セットの他、照明やミザンセーヌ(舞台で役者が立つ位置)を同じにできるので、舞台構成上は大変都合が良いからである。

演目は、作家で飛行家だったサン・テクジュペリを主人公としたもので、勿論花組トップスターの蘭寿とむの主演。
脚本は、例によってやたらに幻想的シーンに強引にしてしまうもので、隣の若い女性は、幕間中に友人に筋を聞いていたほど、意外にもわかりにくいもので、その意味では単純な話なのにスッキリしていない。
だが、主演の蘭寿とむは、踊りが大変軽くて良かった。
昔で言えば、安奈淳のような感じである。
相手役の蘭野はなは、その名前のように娘役にしては蘭寿とむと似た感じだが、途中で星の王子様の少年役を演じたところは良かった。

ショーの『コンガ!』は、その名のとおりキューバの楽器コンガに象徴されるトロピカルな情景の作品で、ダンスは素晴らしいが、音楽的センスが1950年代に止まっている。
確かに1950年代は、ロック時代が来るまで、ラテンは全盛時代で、世界中の人気音楽だったが、そこでラテンが止まっているわけではない。
ボサノバはもちろん、サルサもあり、レゲエやランバタも出てこないのはどうしたものなのか。

今のラテン・アメリカでは、サルサが全盛だと言ってよいのに、いつまでも1950年代のラテンはあんまりである。
この辺は、音楽も外部の人間を使わない宝塚の弊害である。
ラテンの基である、西アフリカ、ザイールやコンゴのリンガラをやれとは言わないが。

久しぶりに宝塚を見て、この歌劇団の大げさである種特別な演技をはじめキンキラキンの衣装、美術は、まさに関西趣味であり、武智鉄二流に言えば、庶民のエネルギーの表現であり、それは歌舞伎と同じであることを再確認した。
東京宝塚劇場

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