『めし』の意味が分かった

川崎市民ミュージアムで、成瀬巳喜男監督の『めし』を見た。何度か目だが、この不思議な題名の意味が分かった。

京都大学総長の山極寿一先生によれば、地球の動物の中で、自己意外と食物を取り、また食物のありかを教えるのは人間だけで、サルやゴリラでも、食物を得た場所は教えないそうだ。

要は、ジャングルから出た人類の祖先は弱い種だったので、他人と共同し、信頼することで生きる道を得たのだと思う。

また、人類が他人には見せず、他の動物は誰にでも見せてしまうのは、性行為で、これは人類が家族を持つことからきたのだそうだ。

さて、冒頭のタイトルで、林芙美子は、

「広大な宇宙の中で、庶民の細かな営みに限りない愛着をもつ」という趣旨の言葉があり、ラストで夫婦をやり直すことにした原節子は、隣の席で半ば眠っている上原謙の寝顔に、新たな愛情を感じる。

つまり、「めし」に象徴されえる、食うことと日常生活の繰り返しこそが人間にとって最も重要なことにと言っているのだと思う。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. S子 より:

    「めし」を読み終わった時 題名の意味するものが 今一わからないのは 未完成の小説だからだと 一人決めで解釈しました、、、
    なるほど そのように考えると ストンと理解も出来ますね。